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第56章 カラダでお支払い
イタリアでは一般的な、"バール"は、どんな田舎でも町に必ず一つはある。
入口にほど近いカウンターでエスプレッソだけを飲む人もいれば、タバコを買ったり。
ショーウィンドウに並ぶパニーニなどをテイクアウトする人。
奥のテーブル席で、お酒と共に料理を楽しむ人。

お店によってどの分野に重きを置いているかは異なり、そこで個性が生まれる。
大きな街に行けば、ブロックごとにバールにいきあたる。

そう楽しそうに話す羚汰に、反して稜の心は重くなる。
しかし、それを悟られまいと、表面上は笑顔を取り繕う。

いつしか止まっていた手も動き出し、羚汰のカレーのみがどんどん減ってゆく。


「人としては最低だけど、あの人の側にいたら、きっと学べる事多いと思うんだ」


学校で教わる机上の経営学と違って、生のリアルな動きを知ることが出来る。
しかも、教わるには申し分ないほどの相手だ。

「毎日、電話する。LINEやSkypeだってあるし。3週間なんて案外スグだよ」

カレーを食べ終えた羚汰が、机の上で腕を組むようにして身を乗り出す。
言い出しにくかったことを話せてすっきりした表情だ。

なんだかその事も、稜の心にショックを与えた。

そして、そんな事でショックを受けている自分にも、がっかりする。


前の彼氏の時は、彼のマンションに家事をしに行くことは週に何度かあっても、会うのは月に1〜2回だった。

仕事や元家族に重きを置いているのは明らかだったが、その彼に泣いて縋るのは、みっともないと思っていた。

「私と仕事、どっちが大事なの?」と、よくドラマなどで聞く女の子のセリフに、冷めた視線を送っていた。

比べる対象ではないし。
そー言っておいて、じゃあ仕事やめてニートになったらどーすんの?

そう思っていた。


羚汰と付き合いだして、部屋が隣りということもあったが、ほぼ毎日のように会っている。
同棲をしてからは、当然ながら会わない日がないくらいだ。
変な話、それが当然で、ずーっと続くと思っていた。

その羚汰と3週間も離れて暮らす。


止める権利はナイ。

というか、やめて欲しいわけでもない。


じゃあ、どうすればいいの?

稜の頭の中で、同じような言葉がぐるぐる巡る。


ふと手が止まっているのに気付き、慌ててカレーを掬う。

トマトと牛すじのカレーが、酸っぱく感じた。
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