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第56章 カラダでお支払い
稜は、部屋のソファに座って、やっと少しだけ暖かくなってきた室内でマフラーを外した。コートを脱ぐにはまだ寒い。
2月も末だが、まだまだ冷える。

あれから、あっという間に時間が過ぎて、お店の前で羚汰と別れ、マンションに戻ってきた。

どこをどう帰ってきたのか、あまり記憶がない。

羚汰が、別れ際に「また夜話そう」と言っていたが。
もう話すことはないような気がする。

いつまでも引きずるのもおかしいのだが、何故だかショックが拭えない。

何がそんなに?

浮気を疑って不安になっているわけではないし。
勝手に決めた、と怒っている訳でもない。

そう、ただ、寂しいだけだ。

笑顔が見えなかったり、ぎゅって後ろからハグされて眠ったり、あのいつもの匂いが嗅げなかったり、肌に触れられなかったり、キスしたり、もちろん愛し合ったり。

たかが3週間で、永遠に別れるわけではないのに、稜は気づくと、涙をこぼしていた。

部屋がほんのりしか温もってないのでまだ顔が冷たいのだが、その顔を暖かいものが流れる。

幸せの絶頂から、谷底に突き落とされた気分だ。

胸も苦しくて、なんだかお腹も痛いー。


ん?お腹??


ふとなにかに気づいて、稜は立ち上がった。




いつもより早い時間に羚汰が帰ってきた。

「ただいま」

駅から軽く走ったのだろう。
そこそこ息が上がっている。

「おかえりー」

玄関でいつものようにハグして迎える。

いつも通りの稜に、羚汰も安心したのかぎゅっと抱きしめる力が増す。
そのまま動かない羚汰に、しびれを切らす。

「りょーた!ケーキ買ってるから、早く中に入ろ」

「んー。ヤダ!稜、あったかいんだもん」

羚汰がいつまでも離れないので、抱き合ったまま移動する。

「もー。動きにくいよ〜」

角度が悪く稜からは前がよく見えないので、ぶつかりながら進む。
2人でくすくす笑いながらも、そのまま少しずつの移動は続き、羚汰は離れそうにない。

リビングに入ると、テーブルの上には、小さなホールケーキに、ろうそくに火がついている。

『26』という数字のろうそくが、だいぶ溶けてしまっている。

「ほら〜、羚汰がなかなか進まないから」

「あははっ。ごめん」

急いでケーキの前に座る。

「かわいいケーキだね」

ホールケーキにしては随分小さなケーキだ。
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