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第57章 春愁
「あっ、プリン出てきたっ!」

さっきから、ケーキが並ぶテーブルの方をチラチラと見ていた千夏が、その言葉と同時に立ち上がる。

ここのプリンは、大きくて四角い器に出てきて、スプーンで掬って皿に盛る、少し固めのプリンだ。
いちごは乗ってないが、ストロベリーフェアじゃなくても定番のこのプリンは人気で、テーブルに並ぶと同時に取りにいかないとほぼ無くなる。

ずっと千夏はそれを狙っていたらしい。

細い体のどこに入っていくのか、千夏はプリンの他にも何やらまたケーキを次々皿に乗せていて、なかなか戻ってこない。

「よく食べるよねー」

そう言う有希子も、さっきまで沢山皿に乗せていたケーキがキレイに無くなって、アイスティーの氷をカラカラ言わせながら飲んでいる。

春仕様になっている店内で暖房がキツめなのか、ケーキに群がる女性陣の熱気で温もっているのか、稜たちが座る部屋は着てきたセーターを脱ごうかと思うほど暖かい。
冷たいアイスティーが心地よいだろう。

稜は飲みかけの暖かいカフェラテを、美味しくないのもあって持て余していた。

もうこれはゴメンナサイして、何か冷たい飲み物を取りに行かせてもらおうかなぁ。
でもこんなに残して勿体ないしー。

などと考えて小さくため息をつくと、有希子が組んだ腕を机の上に乗せるようにして身を乗り出す。

「そんなに会いたいならさ、明日とか、...今日でも会いに行けばいいじゃん」

そう言われて、初め何の事かとっさに分からず思考が止まる。

「全国各地っていったって、どーせ都会でしょ?そんな行くのに時間がかかるような僻地じゃないでしょ?新幹線でも飛行機でもバビュッと行って会ってくれば」

確かに、稜も全ての系列のお店を知っているワケではないが、全国展開と言ってもまだ大きな都市にしか店舗は無いはずだ。

羚汰が今いるのは、この街から新幹線で3時間といった所のそこそこ大きな都市だろう。
確か週末はそこにいると言っていた気がする。

「はーい。皆のも取ってきたよーん!」

千夏が小さな皿をいくつも持って帰ってきた。
その中の1枚には、溢れんばかりのプリンが乗っている。
皿が平たいので、いくら固めのプリンとはいえ、歩く度にタプタプ揺れて今にも落ちそうだ。
これを皆でつつこうというわけだ。
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