この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第57章 春愁
その様子を見て、稜も有希子も笑い出す。

「うわっ。千夏、プリン取りすぎじゃない?」

「そんな事ないよー。これでも遠慮して取ったし。私、なんならあの入れ物ごと欲しいぐらいだわよ」

他のケーキに比べて無くなってから次が出てくるタイミングが遅いとか、器が小さいとか、椅子に座りながら千夏がぷりぷり怒っている。

プリンが入ってくる入れ物は、そこそこ大きいのだが、それでも瞬殺で無くなるのだから、やっぱり小さいのだろう。
千夏がいうのも一理ある。
現に、ケーキが並ぶテーブルの方を見やると、ついさっき運ばれてきたプリンは瞬く間に終了したらしく、覗きこんだ人たちがすごすご引き返している。

「はいはい。ほら、あーん」

スプーンに大きくひと救いして、稜が千夏の口にプリンを入れる。

「んー!美味しっ!!」

途端に千夏が笑顔になる。
その表情の変わりっぷりに、また稜と有希子が笑い出す。

「何よー。はい、稜も食べて食べて」

今度は、千夏がスプーンを持って大量に掬ったプリンを稜の口に近づける。

「私はいいよ」

「いいからいいから」

千夏に食べさせておいて、自分は恥ずかしいとか失礼な話だ。
えいっと、目の前のプリンにかぶりつく。

「美味しい!」

バニラビーンズが香る控えめ甘さのプリンに、少しほろ苦いカラメルソースが絡まって、口いっぱいに幸せな味が広がる。
沈んでいた稜も笑顔になってしまう。

自分で食べている有希子ももちろん笑顔で、笑いながら3人でプリンを瞬く間に食べ尽くす。

「やっぱこのプリンが1番美味しいわ」

千夏がしみじみつぶやく。

「スーパーのプリンとは違うよね」

有希子も、大きく頷く。
普段は子供たちの手前、スーパーのお得用プリンにしか手を出さないらしく、違いが歴然だろう。

プリンでブリがついた稜は立ち上がって、今一度ケーキのテーブルに足を運ぶ。

ワッフルを焼く機械と、生地が置いてあり、自分で焼くらしい。
機械でアツアツを焼いて、置いてあるいくつかの見本に従ってトッピングをし、横にソフトクリームも乗せる。

いつの間にかまた千夏や有希子もやってきていて、同じようにワッフルを焼く。

「いいね、これ」

「去年あったっけー?」

「今年からじゃない?」

席に戻って、また3人で笑ながらワッフルを食べた。
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ