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第57章 春愁
制限時間ギリギリまで何かと食べて、稜はお腹がはち切れそうになりながら電車に乗って実家に向かっていた。
久しぶりに、犬のカイ3世に会う。

何だかんだで久しぶりの実家だ。

すっかり暗くなった駅に着くと、両親がもちろん3世も連れて迎えに来てくれていて、車に乗り込む。
スーパーで買い物を終えていたらしくそのまま家に帰ってきた。

お腹が苦しい稜は、車の中ではしゃぎ疲れた3世と一緒にソファに横になっていた。

いつもはこの夕方前に羚汰から、LINEなり電話なりが入るのだが、どういう訳だか今日は鳴らない。

土曜日だし、忙しいのだろうか。

考えまいと思っても、ついつい考えてはため息をつく。

自分から連絡するのも邪魔になってもいけないし。

有希子の言うように押し掛ける勇気もない。


3世がため息をつく稜の手にあごを乗せる。
『撫でてもいいよ』
という意味らしい。

苦笑いしながら、3世の耳裏を優しく指で揉む。


キッチンで母親が料理しながら思い出したように笑い出す。

「そーよ。アンタ聞いた〜?」

イキナリ笑い出しといて、なんの話か、前後の説明もない。
分かるわけがない。
しかも、そのままケタケタと笑い続けている。

「何が?」

「ほら、お正月に見合いした佐々木さん」

「あー」

すっかり忘れていたが、なかなかあれはインパクトがある人だった。

会社に来て騒いで退散して以降、音沙汰が無かったので、安心してそのまま忘れ去っていた。
あまり思い出したくもない。

「稜にフラれてから、ショックでお家に引き篭もっちゃってるんだってよー?」

...はぁ。

「アンタ、そんなにキツいこと言ったの?」

会社に乗り込んできた一部始終は、後日母親に説明してある。

「なんでも、あの日、家に帰って来るなり、階段を駆け上がって自室に篭って、それから出てこないんだって」

「うそ!」

あれは確か、1月上旬の出来事だった筈だ。
もう2ヶ月近くになる。

「何聞いても何にも答えないらしくてねー。それで、またおばさんがもう1回会ってみないかって。だから、母さん、こないたの話をしといたから」

会社に乗り込んできた話の一部始終は、おばさんにはする必要も無いだろうとしていなかったのだ。

「...おばさん、何て?」

「流石におばさんも絶句してたわ〜」
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