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第57章 春愁
しかし、あれからずっと引き篭もりってことはー。

「その人、仕事は?」

「出てないらしいよ。まぁ、元々、お家の医院のパソコン関係のー、母さんよくわからないけど、最新のシステムがどうのーって、ことしてたんでしょ。行かなくても、他の人に来てもらってやってるんじゃない?」

本当に引き篭もってるんだ。

稜は、自分が悪いとは一切思わないが、少し気の毒な気もする。
あの最後に会った風ならば、きっとまだ根に持ってぶちぶち文句を垂れ、何かと人のせいにしているのだろう。

パソコンに向かって、稜の悪口を延々と書き込む佐々木の姿が容易に想像出来て、稜はゾッとする。

「でも、なんとかおばさんが納得してくれてよかったわ。すごくいい話なのに一方的に断った、ってうちに対して怒ってたじゃない?」

おばさんと、最後に電話した時の事を思い出す。

「そーなのよ。だからね、おばさん、また次の人探してくれるって」

!!

...そう来たか。
誤解が溶けたのはよかったけど、そうなるとは想像してなかった。

稜の気落ちとは裏腹に、母親は今にも歌いだしそうにして料理を続けている。

「なんでもねー、ちょうどいい人がいるらしいのよ。まだ釣り書きは送られてこないんだけど。市役所にお勤めの人で、ご実家でね、レトリーバーを飼ってるらしく...」

あんなに、佐々木との見合いが終わった時に、心底疲れてもう見合いはいい、と言っていた母親が、すっかり乗り気だ。

どうしよう。
羚汰との事を言うべきかー。

それとも、見合い自体が嫌だからと、拒否してしまうか。


羚汰の事を言うのは、どうしてもためらってしまう。

年下でまだ学生なのもその要因だが、前の彼の時に大反対されたのもある。

羚汰と付き合っているとはいえ、まだ先のことはわからないし。

もちろん、今は羚汰と離れる事は考えてはいない。

だけど、何年も先ー、ずっと一緒に居れるとも考えられないのだ。

そうはなりたい気持ちもいくらかあるのだが、現実的に長続きしないだろうと思う気持ち。その2つが常に交錯していて。
どちらかというと後者になるだろうー。

それに、母親の雰囲気的に、きっとおカタイ職業の、エリートと呼ばれるような人と結婚して欲しいのだろう。

ゆくゆく飲食店を経営しようかと夢見ている羚汰との結婚を喜ぶとも思えなかった。
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