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第57章 春愁
「金曜日か、遅くても土曜にはさ、なんとか帰れそう」

弾んだ声で羚汰が報告してくれる。

もともと3週間の予定だが、土日では帰れないかもしれないと、前にぼやいていた。

それがどうやら思ってもなく早めに切り上げるらしい。

「早く稜に会いたい...」

電話越しではあったが、羚汰の囁くようなその声に、稜の体が熱くなる。

後ろからぎゅうっと抱きしめられて、耳元に舌を這わせながら囁く、あの声だ。

甘くて愛おしくて、今にも溶けてしまいそうになる。

「早く会って、稜に触れたい...」

音の悪いテレビ電話と違って、耳元でクリアな声がするのも久しぶりの感覚だ。

目を閉じて羚汰の声に酔いしれる。

「...稜?」

「ん...?」

名前を呼ばれて、我に返る。

「稜...は?そうでもない?」

不安そうな、さっきとは少し違う沈んだ声がする。

「え?」

「...なんか。俺だけ?こんなに会いたいの」

拗ねるというよりも、ショックを受けたような声にドキッとしてしまう。

羚汰の声に聞き惚れていた。

「そんなことない。私...羚汰の声が、嬉しくて...その...」

「稜...。泣いてる?」

そう言われて、堪えていた暖かいものが頬を伝う。

久しぶりに声が聞けただけで泣きそうになってるなんて、自分でもオカシイと思う。

だから、せめて悟られまいと思った。

「っ...。違う...よ」

「ごめん」

優しく謝る羚汰の声に、はらはらと涙が止まらなくなる。

「ごめんな」

違う。羚汰に謝って欲しいわけではないのに。

「ううん。違うからっ...」

電話ごしに稜が首を振っているのがわかったらしい。
羚汰がふっと笑ったようだ。

「稜?なんかしゃべって。稜の声が聞きたい」

しゃべって、と言われても。
何を話せばいいのか。

「...羚汰」

「うん?」

「羚汰、...会いたいよ」

電話の向こうに、喜んで弾んだような羚汰がいる。

「俺も。スゲー会いたい!!」

嬉しそうな羚汰の声に、稜にも笑顔が出てくる。

「ってか、キスしたいし、稜のおっぱい触りたい。セックスしたい!稜が泣き叫ぶほどいっぱいしたい!」

誰も他に聞いている人などいないのに、恥ずかしくなってくる。

「ちょっと!...やだ...」

「やだって言われてもヤるから。覚悟しといて?」
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