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第57章 春愁
爽やかに高らかにそう宣言されてしまい、どう返事をしていいやら困ってしまう。
とりあえず、顔から湯気が出そうなくらい血があがっているのがわかる。

「だからっ、もう、ホント恥ずかしいから...」

1人部屋にいて、誰に聞かれているわけでもないのに、辺りを見渡してアタフタしてしまう。
そんな稜を電話の向こうで羚汰が楽しそうに笑っている。

「えー。稜はシタくないの?」

「っ...」

「ほら!シタいんじゃん?稜えっちだなぁ〜」

「...もう」

本当に羚汰には翻弄されてしまう。

そんな羚汰に触れて欲しい。

少し湿ったショーツの中を自覚して、足をすり合わせてしまう。

ちょっと言われただけなのに、反応してしまう自分が嫌になる。

「稜...、今日もする?」

羚汰の声が少しだけ低くなり、囁くように問いかけてくる。

前電話がかかった時、その時はLINEのテレビ電話だったのだが、羚汰に押し切られる形でその画面片手に2人でシタのだ。
久しぶりのその行為は、2人をあっという間に熱く激しく燃え上がらせた。
その時の事を思い出して、また稜が赤くなり、ショーツの中に熱気が蘇る。

それももう、1週間近く前だ。

「...羚汰のがえっちじゃん」

「だろうね」

かろうじて返した稜の言葉に、羚汰が即答する。

「今日、顔は見えないのが残念だけどさ。久しぶりに稜のえっろい声、聞きたい。ねぇ、聞かせて?」

「...やだ」

「なんで〜?ヤろうよ。なんでヤなの?この前は、すげーノリノリだったじゃん」

ノリノリだなんて...。

あの時はつい流されて。

「...だって!羚汰、今外でしょ!」

電話の向こうで、微かにクラブ音楽がしている。

「あはっ。バレてた?」

どうやらまたアキラにクラブに連れてこられているらしい。

非常階段に出て来て電話しているので、音が聞こえないと思ったようだ。

「でも、今外じゃなかったらシタ?」

「こんなに長電話してて、アキラさん怒らない?」

聞こえなかったフリをして、違う質問で返す。

「今美女たちとお取り込み中だからいーの」

アキラは友人のパーティで、VIPルームで楽しんでいて。
コトが終わるまで、羚汰は待っていないといけないらしい。
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