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NEXT 【完結】
第58章 3週間ぶり
あ、桃香が忘れものー、...だったら鍵を持ってるから、ガチャガチャしないはずだ。

ガチャガチャが収まって、しばらくしてやっと稜は動き出すことが出来た。

とりあえず、音楽を止める。

その手が震えている。

画面をフリックする手が、どこか自分のものではないようで。
それでいて手先が冷えきったような感覚もする。


大音量のロックが止まって、事務所の中に静寂が訪れた。

張り詰めた空気に、額に汗が吹き出る。


...どうしよう。


警察に連絡ー、といっても何か被害が出たわけではない。

まださほど遠くまで帰っていないだろうが、桃香に帰ってきてもらうのも危ないし。

社長、に連絡しようか。でも、なんてー。


ドアのあたりは、あれから音が全くしない。


諦めて去った...のかな。



鍵もかかってるし、稜は音を立てない様にして、そのドアにゆっくり近づく。


磨りガラスの向こうに、フッ、と人影が見えた気がした。

「!!!」


人がいる!!

去ってなかったんだ!!!

近づいてしまった。

どうしよう!!


「...稜?」


磨りガラスに人物が近づいてきた。

人影なのがくっきりわかる。

自分の名前を呼ばれたとはこの時、全く気づかなかった。


稜はまたしてもその場所で動けずに固まってしまう。

また、ドアが叩かれる。
そんなに強くはないのに、その音に体が文字通り縮み上がったのがわかった。



「りょーう!開けて!ってか、電話出て?」


その声は...。羚汰!?

に似てるけど。

羚汰が帰ってくるのは明日の筈だし。

その明日だって帰れるかどうか、まだわからない、といった内容の連絡を、今日の昼すぎに受けたばかりだし。


「稜??俺だよ。りょーた!!」


やっと、ドアの向こうに居るのが、自分の彼氏である事を理解することが出来た。

「へっ!?羚汰!??うそっ!!だって明日の筈...」

「嘘じゃないし。ってか、先に開けてよー!」

そう言われて、慌てて鍵を開ける。


ドアを開けると、そこには本当に羚汰が立っていた。

いつものブルゾンの前を開け、スーツ姿だ。

片手にスマホを持って、もう片方には小さな旅行用のスーツケースを引いている。


「ただいま」

「...お、かえり...」


見慣れない格好だが、顔は確かに3週間ぶりの羚汰で。
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