この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第60章 Downstairs
3月も最終週になったある日、下の階の601に引越しがあった。

引越し自体は、平日の昼間にでもあったのだろう。
稜が仕事から帰った時に、電気屋が家電を運び入れているのとエレベーターで鉢合わせして、なんとなくわかった。

この時期他の階でも出たり入ったりしてるけど、どの部屋かなーとなんとなく聞き耳を立てていると、業者が601がどうのと話していたので間違いない。


覚悟はしていたが、とうとう下の階に住人がやってきた。

なんだか少し緊張めいたものをしてしまう。

部屋に戻ると、下の階は家族でもきて片付けを行っているのか、結構賑やかだ。

はっきりとした声や音は聞こえないが、時折笑い声が響いてくる。
入居者のお父さんなのか、威勢のいいクシャミの声もする。


向こうの音が聞こえるということは、こちらの音もそれだけ聞こえるということだ。

それでもそんな音も9時近くになると、ほとんどしなくなった。

近所迷惑になると判断したのだろう。

常識ある入居者なのだ。

安心するとともに、本当にこちらの音を気を付けなければと身が引き締まる。


その日は、連日の仕事疲れと月のモノとが相まって稜は早く布団に入った。

羚汰はいつもの終電で帰ってきたらしい。
なんとなくリビングで、気配を感じて布団から起き出す。

ドアを開けようとしたら、風呂上りの羚汰とドアを同時に掴んだらしい。

「!!」

「うわっ、びっくりした〜」

「しーーっ。羚汰、声っ」

驚いた声を普通に上げる羚汰に慌てる。
連絡しといたので、知っているはずだ。

「大袈裟だなぁ。こんぐらいは普通じゃね?」

羚汰が笑って布団に入る。

「だってー」

隣の時とは多少違うかもしれないが、音に関しては稜のほうがよく知っている。
聞かされた方が、どのような気持ちになるのかも。

なんとなくそれは言いにくくて、今日は家族で来ているっぽいのを伝える。

「広いから、そりゃ両親来ても泊まれるわなぁ」

もう随分前にはなるが、稜が一人暮らしを始めた時も、母親が泊まったことを思い出す。

「羚汰の時は?家族来た?」

「ウチは遠かったから、両親は来てないな。でも、ねーちゃんが姪っ子と来た。熱帯魚持って」

熱帯魚と水槽は、お姉さん家族の預かりものだと言っていたのを思い出す。

「そっかー。とうとう引越して来たかー」
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ