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NEXT 【完結】
第61章 お花見
「ほら、食べよ食べよ。お腹空いたよ」

シートに広げた中からサンドイッチを取り出して口に入れる。

朝から何も食べていないので、優しいたまごサンドが胃に広がってゆくのがわかり、自然と笑顔になる。

「見てないで、食べて。美味しいよ」

羚汰も笑って同じたまごサンドを口に入れた。

「ん!うまっ!」

スーパーに併設されている小さなパン屋さんのサンドイッチは、思いのほかとっても美味しかった。
お惣菜を買ってからパン屋があるのに気付いたので、サンドイッチしか買わなかったのが悔やまれる。

巻きずしや唐揚げもどれも美味しい。
二人でぱくぱく食べて、あっという間に完食だ。

デザートで、スーパーのカットフルーツを広げる。

一気に桜が咲いただけあって、この日も日が当たるとぽかぽかと暖かい。

食べてお腹がいっぱいで、その陽気なものだから、羚汰が眠くなってきたらしい。

まだカットフルーツを食べている稜に、なにやら腕を上げろとジェスチャーしてきて。
訳もわからず腕を上げると、稜の膝に頭を乗せて寝転んだ。

「ええっ」

「いーじゃん。ちょっとだけ。眠いんだもん」

そう言いながら、大アクビだ。

ここの所バイトが忙しいらしく、昨日も終電で帰ってきたので、明らかにあまり寝てない。

さり気なく周りを見渡してみると、とりあえず稜たちに注目している人はいなさそうだ。

近くの若い家族連れは、大きなボールを転がして、小さな兄弟がその転がったボールを可愛い笑い声と共に追いかけ回している。
その愛くるしさに、周りの人はその兄弟に釘付けだ。

ほっと一安心して、膝の上の羚汰を見ると、もう軽く寝息を立てていた。

残っていたカットフルーツを食べきって、空き容器を袋にしまう。
もらったおしぼりで手を拭くと、膝の上の羚汰の髪を優しく撫でる。

また少し伸びてきた髪は、光にあたってキラキラと光っている。

顔はあちらを向いていて見えないが、稜があげたピアスをした耳は見える。

あれから本当にずっと大切にしてくれている。
嬉しくなって、その耳もそっと触る。

こんなにいっぱい付けてて重くないのかな。
ここは軟骨?

と触り続けていると、笑い声とともにその耳が揺れる。

「ははっ。くすぐったいんだけど」

どうやら起こしてしまったようだ。
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