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第63章 お泊り会2
華乃ちゃんについて有希子が2階にあがっていったので、ひとりぽつんと稜が残される。

喉が渇いた。
勝手に何か飲んでもいいのかな?

のそのそとキッチンに向かう。

冷蔵庫を覗いてみると、ワインか牛乳しかない。

仕方なく、水道のお水を貰う事にする。

この前泊まった時に、だいたいの食器の位置は知っている。

ごそごそコップを取り出して飲んでいると、有希子が笑いをこらえながら降りてきた。

「もー、ごめんね~。華乃が失礼な事言って」

「ううん」

「今も尚と上でぎゃぎゃいやってるわ」

酔いがまだ冷めない尚が華乃にじゃれついて、本気でウザがられているらしい。

「この前会った時はもっと幼いカンジだったから。急にお姉ちゃんになっててビックリ」

「もうどこで覚えてきたのか、最近あんなしゃべり方なの。ほんと自分の子ながら恐ろしいわ」

有希子も喉が乾いたのか、同じように水を飲む。
飲み終わって、ふふっと思い出し笑いだ。

「でも、華乃、よっぽど羚汰くんのことが気に入ってたらしくて。尚にその話をするから、尚が益々フテちゃって。もう家帰りたいとか言ってるわ」

「...なんか、子どもたちからモテモテだったもんね」

羚汰を見かける度に、子どもたちが周りにまぶれついていた。

「あらー、おばちゃんたちからも大人気だったわよ」

「...そうなんだ」

おばちゃん達が、ひそひそ言っているのを稜も見かけた気がする。

誰にでも、ーというと語弊があるかもしれないが、羚汰は常に愛想がいい。
人懐っこい笑顔で、老若男女にモテるタイプだ。

また有希子がふふっと思い出して笑う。

「でも、そういう羚汰くんは、稜が貴之さんと楽しそうに会話してるのを見て、かなり嫉妬してたみたいね」

2人が玄関先で会話している時に、ちょうど羚汰の近くにいたらしい。
じっと凝視してたかと思うと。急に「帰る」と言い出し、席を立った。
その様子がおかしいと思って、有希子も稜に言いに行った。

「稜も気づいたんでしょ」

タクシーを拾うと言って稜に何も言わずに出た羚汰に追いついた時、稜も少しそれがよぎった。

その時は、稜が気持ち悪くなって、それどころではなくなった。

「何の話をしてたの?」

「え、別に普通の...」

何を話すも、羚汰を送って欲しくて、探して声をかけたのだ。
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