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第63章 お泊り会2
いつの間にか放り投げていたスマホを慌てて拾い上げる。

羚汰からLINEで、今バイトが終わった、と短くある。

“お疲れさま”

“今少し話せる?”

と打ってみる。

ドキドキしながら待っているが、返事はない。

どうしたんだろう。やっぱり...?


そう思いかけた所に、急に着信音が鳴る。

羚汰だ。

かけてきてくれたのが嬉しくて、驚きながらも電話に出る。

「もしもし!」

電話に出ながらふと千夏と有希子の視線が気になって、リビングを出て、ひっそりとした玄関に向かう。

「...何かあった?」

少し疲れたような声ではあるが、羚汰の声だ。

「えっと、その、ごめんね!」

電話をかけてきてと言っておきながら、何をどう話せばいいものやら。
とりあえず、何か言わなきゃと口から謝る言葉が出た。

「...何が?」

「その、バイト間に合った?」

「ああ、うん。大丈夫だった」

疲れているのか、気だるそうな返事だ。

それとも、やっぱり何か怒ってたりするのだろうか。

電話の向こうから、車の行き交う音や横断歩道の音がやけに聞こえる。

「そう。なんか変な別れ方になっちゃったから、気になってて...」

気分が悪くなって、羚汰に行ってらっしゃいって言えてない。

「稜は?もう大丈夫?」

「うん。ごめんね。走ってお酒が回っちゃって。一眠りしたから、もう大丈夫。お酒強くないのに、飲んで走ったりなんかしたらダメだよね〜」

心配してくれたのが嬉しくて、ついベラベラと喋ってしまう。

「...まだ宴会中?」

「母屋は抜けてきて、今は千夏の家で3人で飲んでる」

「そう」

電話の向こうで、救急車の音がする。
ざわざわとした音もさっきよりしていて、駅に近づいているのだろう。

何か言わなきゃ。

でも何て?

怒ってる?なんてこと言えないし。

嫉妬してる?なんて、上から目線というか、自意識過剰な気がする。

稜が何も言えずにいると、羚汰がひとつ息を吐いた。

「...それだけ?」

「あ、うん」

「そ。じゃ、もう、電車乗るから...」

なんだか素っ気ない。

そうさせているのは自分なのだろうか。

「...声が聞きたかったの」

つい口からそう出てしまった。

自分で言ってから、急に恥ずかしくなる。
肌寒い玄関で顔が赤くなっているのを感じる。
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