この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第64章 異変
そう口に出していた。

ソファで寝て、風邪が回復するとは到底思えない。

稜が、元の部屋に戻ることを以前は嫌がっていたが。
この状況では仕方ないと思われた。

それなら、羚汰が納得して、ベッドで寝てくれるだろうと。

布団の中で羚汰の動きが止まっていて。

その表情を読むことは出来ない。

「寝るだけだから。あっちはガスも止まってるし、こっちに荷物もあるし。寝る以外はこっちで生活するから、だから...」

安心してベッドで眠って欲しい。

しばらく沈黙が続いていたが、ふいに羚汰が立ち上がり、無言で寝室に向かった。


少しだけほっとする。

そうだ、風邪薬。

あれは明らかに熱がありそうだった。

体温計...あったかな。


自分の部屋からそれらを取ってきて、寝室を覗く。

咳が激しく、寝付けていないようだ。

「羚汰、風邪薬」

差し出したが、布団をかぶったままで出てこようとしない。

「羚汰、飲まないと」

「...いらない」

そう言ったそばから咳が続く。

どうにかして、薬は飲んで欲しい。
一般の風邪薬で、そんな効き目はないかもしれないけど。
飲まないよりはマシだ。

「飲むまで、私ここを出ていかないよ」

少し脅してみる。

しばらく考えていたようだが、のそのそと体を起こして、差し出された水で薬を飲んだ。

「あと、体温計」

体温計はかなり躊躇っていたが、それでも稜が差し出し続けるとしぶしぶ手に取った。


「...さっきは、ごめん」

体温計を挟んで、天井に向いたままぽつりと羚汰がつぶやく。

脱ぎ散らかしていた羚汰の服をハンガーにかけていて、遅れてそのつぶやきに気づく。

「ううん」

ピピッ、という音がして体温計が終わったようだ。

取り出した羚汰がもう画面を覗く気力がないらしく、その手を投げ出している。

稜がそっと受け取り画面を見ると、38.2度とある。

!!

思っていたより高い熱で驚いた。

しかも、また布団を被るこの様子だとまだ上がりそうだ。

「少し寝てね。また様子見に来るから」

小さく頷いたのを確認すると、電気を消してリビングに移動した。


カウンターに食べかけの晩御飯が残っている。

なんか...疲れた。

すっかり冷えた料理を、レンジに入れた。
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ