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第64章 異変
「稜。...稜。りょーう!」

「ううん?な、何!?」

羚汰にぐらぐらと揺すられて起こされる。

「アラーム鳴りっぱなしなんだけど...」

そう言われると、スマホがリビングでしつこいぐらい鳴っている。

あれ?なんでリビング?リビングに忘れてきた?

ああ、そうだ。昨日は、ついこっちの部屋でー。

部屋の向こうでスマホが鳴りすぎて、どうやら止まったようだ。
また5分経ったら鳴り出すので、それまでには起きなきゃいけない。

伸びをして起き上がりかけて、羚汰の視線に気づく。
幾分か顔色が良くなった気がするが、表情が乏しい。
きっとまだ辛いのだろう。

「おはよ」

「おはよう。...羚汰、熱は?」

そうだったそうだった。
昨日は羚汰が熱が出て苦しんで、着替えを手伝って、熱で混乱した羚汰に質問されまくって...。

次第に頭がクリアになり、昨日の事が鮮明に思い出される。

「どーかな。随分楽になった気がするけど」

そう言いながらまだ咳をしているが、昨日とは少し音が違う気がする。
声も少しマシだ。

「...稜」

羚汰の指先が、量の髪を少しだけ掬いとる。

そんな他愛もない動作なのにドキドキが止まらないのは、羚汰が真顔だからだろうか。

「な...に?」

「アラーム鳴ってる」

!!

そうだった。

慌ててベッドから転げるようにしてリビングに向かい、テーブルの上で鳴り響くアラームを止めた。

そーっと寝室に戻って着替えを用意する。

あの様子だとまだ羚汰は寝るはずだ。

静まり返った寝室は、なんだかとっても居心地が悪い。

なんとか今日の服を持って寝室を出ようとすると、羚汰に呼び止められる。

「稜...」

「は、はい!?」

「...ごめん。水が欲しい」

いつの間にか空になったペットボトルを羚汰が指さす。

ペットボトルのお水を台所に取りに行き、羚汰に手渡す。

「はい、お水」

差し出したペットボトルを、布団から出た腕が稜の手ごとつかむ。



「稜。俺、今日は一日寝ておくから。早く帰ってきて」

「大学もバイトも大丈夫?」

大学は友達に後で連絡しておくらしい。
バイトは元々今日シフトに入ってなかった。

「うん。わかった。早く帰るね。しっかり寝て治してね」

「うん」

羚汰がにこりと初めて笑った。

ただそれだけなのに、稜はほっとする。
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