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第65章 unmoral
「俺にはソイツらを非難する権利なんてナイんだけど。それからソイツらのセイにして、それまで以上に深い付き合いはしなくなった」

羚汰の横顔が悲しく笑っている。

オンナの人、オンナの友情が全く理解出来なくなった。

口々に褒め合い、共感を求め合い、意味の無い会話を繰り返す。
その裏で、相手を貶めたり、影で悪口を言いふらしたり。

そんな!きゃいきゃい騒ぐ集団に嫌悪感を抱くほどに。


「でも、稜をラコルテで最初に見かけた時。千夏さんや有希子さんと一緒に騒いではいたんだけど...」

「うん...」

最初に見られたのはいつだったのだろうか。冷や汗が流れてきた。
羚汰は、あの面接ー、有希子と千夏と会ったあの面接とか本当は嫌だったのかな。
それで花見も嫌だったとか?

「あの時。なんか、ウワベじゃなくて、本気で言い合ってて」

羚汰が見かけた時、どうやら3人は言い争いをしていた。
詳しい内容までは覚えてなかったが、千夏が失言したことを、有希子が怒って。
軽く説教していたらしい。
稜も、冷静になって会話に参加していた。

次に、羚汰が見た時は、すっかりその遺恨はなくなって、お腹を抱えて3人とも笑っていたらしい。

そんな事は3人の中では日常茶飯事で、稜はその時の内容が思い出されない。

「ああ。この人達は、本気で仲がいいんだ。って思った」

確かに、有希子と千夏とは本音でぶつかれる。
バカ話もするけど、真面目な話もする。

でも、ほとんどはそうだと思う。
そのA子さんB子さんが特殊なだけで。

「稜のことも。...顔がコロコロ変わって。号泣してたり、真っ赤になったり。思ったことが顔になんでも出てさ」

羚汰が話し始めてやっとくすりと小さく笑ったが、すぐ真面目な顔に戻った。

「きっと、稜は違うって。...まぁ、思いたかったってのもあるけど」

??

「だから...。その」

羚汰は何が言いたいのか。

「本当の事を教えて欲しい。...有希子さん、千夏さんのこと、好き?」

前を向いていて、稜と顔を合わせようとしなかった羚汰が、稜の瞳を見つめる。

「好き。大好き。...私は、2人のこと、何でも言い合える本当の親友だと思ってるよ」

羚汰は何を不安に思っているのだろう。
私が話すことで、それが少しでも和らげるなら。
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