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第65章 unmoral
「だから、それはそういう意味であって。付き合ってたとか、ありえないよ!!あの夫婦見たでしょ!?ってゆーか...」

あの夫婦が、こっそりクローゼットで直前までヤってて羚汰を送るのが遅くなったんだし!

そう言い切って、流石にヤバかったかと口を覆う。

「...あはっ。なにそれ」

「あー。言うつもりなかったのに、言っちゃった。千夏に言わないでよ?」

羚汰が声に出して笑ったのが嬉しくて、千夏たちのナイショを話してしまう。

「...だからね。私はまーったく関係ないのよ!」

少しの間があって、また羚汰が何か言いたげだ。

「...何かまだ気になる?何でも聞いて」

「ん...」

羚汰がソファに座り直す。

「稜は...さ。貴之さんみたいなのがタイプなのかなって」

「タイプ??え?なんで??」

「...ほら、コンパの人とデートしたでしょ。あの人も似たタイプだったし」

コンパの人...?

ああ、桃香にお願いして参加したコンパで知り合った、確か...マサトシくん!

確かに、スラリと背の高いのと。
黒髪だったのは、似ているかもしれない。
けど、歳も顔も全然違うし!

「あーゆーのが、稜のタイプなのかなって思ってて。やっぱ、忘れられないのかなって」

「違う違う!もー、偶然だから!!」

段々と、稜の語尾も強くなる。

「私はー、タイプとかで好きになったりしない、かな」

歴代彼氏を思い浮かべても、共通点は全員年上ってなぐらいだ。それも10歳近く離れた。

自信家で余裕があると思っていた羚汰が、稜に聞けばいいのにここまで悶々と抱えてたのかと思うとビックリだ。

「それに。これは、ここんトコロずっと気になってたんだけど...」

「何?」

まだ何か出てくるのだろうか。

「稜の部屋。まだ、借りたままじゃん」

同棲してもう随分経つのに、稜の部屋は借りたままだ。
羚汰的には、もう使ってないのだから、この春に解約するものだと思っていた。
それが、まだ借りたままだ。
家賃の他に電気代もかかるし。
何故解約しないのかずっと気になっていたー。

「それはー。実家に、同棲してること言ってないし...」

「なんで言ってないの?」

そう言われて、言葉に詰まってしまう。
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