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NEXT 【完結】
第66章 トケル
「稜...。お風呂入っといで。もう、いい時間だよ」

そう言われて少しだけ体をずらしてみると、その顔の先に羚汰のスマホ画面が差し出されていて。
もう深夜近かった。

「このプリンの、片付けとくから」

頭をなでなでされて心地よく、羚汰から離れたくない。

「...一緒に入る?」

「あはっ。稜から初めてお風呂に一緒に入ろって誘われて嬉しいけど。俺、病み上がりってゆーか、治りかけ?なんだよねー」

そうだった!!

冗談ではなくて、本当に病人なんだった。

慌てて、羚汰から体を離す。
弱っている羚汰を押しつぶすように体をあずけてしまっていた。

「ベッドで待ってるから」

繋いだ手の指を絡めながら、目を見つめてそう言われて、顔が急激に赤くなるのを感じる。

「何赤くなってんの。だから、病人なんだって。一緒に寝るだけだよ」

「えっ、...あ、そう、...だよね」

わたわたと慌てる稜に、羚汰がいたずらっぽく笑う。

「...お風呂、入ってくる!」

稜は慌ててそのままお風呂に行った。



風呂から上がると、リビングはもうひっそりとしていて。

大急ぎで歯を磨いて髪を乾かして、寝室に向かう。


ベッドの中はもう寝ているのか、羚汰が静かに呼吸を繰り返している。

薄暗い中、そーっと布団の中に入ると、羚汰の腕が伸びてきて、ぎゅうっと抱きしめられる。

「きゃ!」

「おーそーい!」

いつもの背中からではなく、正面から抱きつかれる。

「そうかな」

「そうだよー!寝ちゃうとこだった」

半ばベッドに押し倒されたような体勢だ。
稜の顔にかかる髪が手のひらで優しくよけられる。

稜も手を伸ばして、羚汰の顔にかかる髪をよけようとするも、重力ですぐ落ちてくる。

羚汰が、ふっと笑って、ベッドに体を横たえてた。

2人で横に向いて向かい合う。

髪を撫でていた手が、産毛を撫でるように頬を伝い、唇に到達する。

そのいつもの指使いに、稜の唇から吐息が漏れる。

キスがしたい。
でも、きっとまたダメって言われちゃうよね。

そう思っていると、そっと顔が近づいて、わずかに唇が触れあうキスを羚汰がした。

そのまま離れていく羚汰を見つめて、もっとしたいのを目で訴える。

「今日はここまで」

そう言いながら、また頭をなでている。
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