この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第69章 どたばた
「そっか...」

羚汰の嬉しそうな声が背中でして、それから沈黙が訪れる。

「...でもね、今からだと5月末退居になるみたい」

契約書に、退居予告は退居の一ヶ月前には行わなくてはならない。という項目があるらしく。
もう4月に入った今からでは、5月末になる。

そして、この時期の退居は、あまり歓迎されたものではないようだった。
それはそうかもしれない。入学や、転勤は4月前が多いから。
稜が出た部屋は、羚汰の下の部屋のように、次の春まで空き部屋になる可能性があるからだ。

それでも、10年以上も入居していた稜が退居とあって、しぶしぶ了承された。
逆に、『寿退居』なのかと勘ぐられたぐらいだ。

まさか隣に引っ越して同棲しますとも言えず、言葉を濁すしかなかった。

「じゃ、ヤバイね。下のヤツに、俺らも同棲してるってバレないようにしないと。自分とこの恨みとかで、上のヤツもやってるじゃんとか言われそう」

ヤバイと言いつつなんだか嬉しそうな羚汰に、稜は体を反転させ向かい合う。

「冷蔵庫とかは、リサイクル業者さんに引き取ってもらうとして...」

まだ稜の部屋には、季節外の服が入った、背の高さぐらいのタンスと。
元々テレビのなかったこっちの部屋にテレビ本体は持ってきていたものの、まだテレビボードとDVDデッキがある。
他にもまだ押し入れには荷物があるし、それとは別に棚があるけど、処分しないといけないかもしれない。

10年ちょっと、あの部屋で一人暮らしだったのだ。
ちょっとやそっとで片付く量ではない。

「俺も手伝うよ。5月末までには片付くでしょ」

「うん。...ごめんね」

羚汰の指の背が、そーっと頬を撫でる。

「なんで謝んの?」

「この部屋もさ、狭くなっちゃうかもだから」

置き場所を考えないと、収まるかどうかも怪しい。

「あは。いいよ。そしたら、もっと稜とくっついて過ごせるじゃん?」

稜の腰を抱き寄せ、足を絡める。
ぐっと距離が縮まって、胸が軽く触れるし、顔は羚汰の唇が今にも付きそうなぐらいすぐ近くだ。

「っ!ちょっと」

「オヤスミ〜」

くすくす笑いながら、おデコにキスをする。

「これじゃ眠れなくない?」

「なんで?こんなサイコーに気持ちいい抱き枕ナイよ」

「ひどっ」

また布団の中でいちゃいちゃしながら、いつの間にか眠りについた。
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ