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NEXT 【完結】
第9章 協力
今度は、リョウが意を決して誤り出した。

「俺のほうこそ、今まですいませんでした」

稜は振り返った。リョウが少し畏まって立っていた。

「?」

「俺の部屋も、結構うるさく...してましたよね」

「...たまに」

たまにじゃないけど、ほぼ毎日だったけど。
毎日がっつり聞こえてた、というのはヤハリ言いづらい。
ましてやそれをオカズにしてたとか言えるわけない。

「あー、やっぱりか」

それまで固かった表情が少し緩み、開き直ったように見えた。

「ココ、結構壁が薄いみたいですね。気を付けないと、丸聞こえ」

「...でも私寝付きがいいから、時間帯も違うし、そんなに気にならなかったよ」

「...もう、迷惑かけないと思うんで」

そういった時の目が、なんとも印象に残った。
稜のほうを見ている筈なのに、その目は虚ろで、彼女の事を思っているのか今にも泣き出しそうな切ない目だ。

自分に向けられたワケではないのに、その目線にクラクラする。

どういう意味だろうか。

もう彼女を連れて来ないということか。
それとも、彼女に声を出させないようにするとか?
ベッドの位置を変えるか。

自分が仕組んだ筈なのに、何か物悲しい。

「そうね。私も迷惑掛けないようにするわ」

「...ですね」

「じゃあ」

そう言って、稜は今度こそ部屋に入ろうとする。

「あの!」

またリョウに呼び止められた。

「...?」

「...その。ハナシが変わるんですけど。部屋のトイレとかの電気って、切れた場合、どうしたら良いんスか?」

「??」

話を聞くと、リョウの部屋のトイレの電球が切れたらしかった。

どうしていいかわからず、とりあえず一人暮らしだし、トイレのドアを開けっ放しにして、廊下の電気で明かりを取っていたが、その廊下の電球も切れた。それでもトイレの隣の風呂場の電気をつけて、ほんのりと明るい中で何とか過ごしていたが、その風呂場の電球も切れた。

「何それ、真っ暗ってこと?」

「部屋の電気はあるんで。あとは、スマホで。」

「スマホ...」

「今日、バイト無いんで、さっき不動産屋行ってきたんですけど、閉まってて」

「あ、あそこ閉まるの早いよ。てゆーか、普段からおっちゃんあんま居ないし」
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