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NEXT 【完結】
第9章 協力
不動産屋は、稜たちのマンション近くの駅のすぐそばにある。昔ながらの小さな不動産屋で、いつも出くわすおっちゃんと、たまにその奥さんらしき人のみ。
前は、その娘とおぼしき店員さんが切り盛りしていたが、ここ半年ほど見ない。
おっちゃんは、娘がいた頃からよくパチンコに出掛けて留守にしがちだった。

リョウもここ最近、騒音の事で相談しようかと1度訪れている。おっちゃんしかいなかったので、相談しづらくすぐ事務所を出た。

「自分で電球、変えれないの?あのおっちゃん、電球変えられそうにナイけど」

不動産屋のおっちゃんは、かなり横に大きい人だ。ゆうに、100キロはあるだろう。
そんなおっちゃんが、脚立に登って電球を変えるのは想像つかない。

ぶっ。

脚立に登れずわたわたするおっちゃんを想像したのか、またリョウが笑う。

「脚立ナイのもそーなんですけど、なんか変な電球ついてません?」

「そうなのよ。あれ、高いのよね」

このマンションの廊下やトイレは、変わった電球がついていた。LEDが出来るよりずーっと前に建ったマンションだ。そのなかでは、長持ちするらしいといって、家主さんが付けたらしい。

「私もいつだったか切れて困って、自分でつけ直した」

「えっ」

「予備、あったと思うから持って行こうか?脚立もあるよ」

「ええっ。脚立もあるんスか!?」

「うん。ちょっと待ってて」

稜は、一旦部屋の中に入り、言ったものを用意した。
電球は、1個しかなかったが仕方ない。

「はい。電球は1個しかなかった。廊下にでも付けて」

「...ありがとうございます。これ、いくらですか?」

「いい。最近、いろいろお世話になったし。迷惑も掛けたし。コレでチャラってことで」

丁度よかった。これで、貸し借りなしだ。

「脚立は貸しといてあげる。全部すんでからでいいよ」

「助かります...」

そう言って、2人はそれぞれの部屋に戻った。



ふぅ。

稜は、ため息をついた。

荷物を置いて、服を脱いで部屋着に着替える。
最近、くぐっと寒くなってきた。

そろそろ本格的な冬物を出さなきゃ。

そんな事をぼんやり考えていると、隣でガチャガチャ音がする。

きっとリョウが脚立を広げてる。
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