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第69章 どたばた
「そうそう。イチゴジャムあるけど、持って帰る?」

母親がジャムのビンを冷蔵庫から取り出す。

親戚のおばちゃんの近所でいちご栽培をしている方がいて。
出荷シーズンが終わって、粒が小さくて売り物にならないものを大量に貰ってくる。
それを毎年オスソワケしてもらい、ジャムにするのだ。

砂糖が少なめで、いちごの形がまだ結構残っている。
母親特性イチゴジャム。

「持って帰る〜!ありがとう!」

「今年のいちご、少しすっぱいみたいなんだけど。あ、ヨーグルトに入れて、ちょっと食べる?」

母親が3人分のヨーグルトを器に開けて、イチゴジャムを豪快に乗せてゆく。

「空人にも渡せばよかったわー。すっかり忘れてた」

いちごは、羚汰も好きなはず。
瓶を片手ににまにまっとしていると、ヨーグルトの器を持った母親の視線に気づく。

「稜、なーんか丸くなったわね」

「へっ。丸い?太ったってこと??」

慌てて顎の周りを押さえてみる。
回る寿司で食べすぎたのがもう表に出てきた?

「違うわよ。笑い方っていうのかしらね」

笑い方?
にやにやしてたのが、怪しかったのだろうか。
ほっぺたを自分で軽くつねってみる。

「そう?」

「それに。今日ずっと気になってたんだけど」

母親が指差したのは、稜の右手に輝いている指輪。
羚汰にクリスマスに貰った可愛いリボンの形のモチーフは、稜が買うものとは明らかにテイストが違っていた。

「これ!あんた、これ自分で買ったの?違うでしょ?」

母親が見つけるとこんな風に追求を受けるので、実家に帰る時はこっそり外していたのだが。
この日はうっかりはめたままだった。

ちょうどいいのかもしれない。
きっと今、言うタイミングだったのだ。

意を決して一つ呼吸してから、稜は開き直った。

「うん。恋人に貰った」

「やっぱり!!」

持っていたヨーグルトを机の上にだんっと置き、稜の隣に急いで座る。

稜は、言い切ったものの恥ずかしくなって、無造作に置かれたヨーグルトの一つを手を伸ばして引き寄せる。
それまでリビングでカイを撫でていた父親も、話を聞くためか、ヨーグルトを食べるためか、椅子に座りにやってきた。

「で。どんな人なの。いつから」

よくなんでも話せる友達みたいな母娘とか、チマタでは聞くけれども。
我が家はそれとは違う。

どう話せばいいものやら。
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