この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第69章 どたばた
カバンからハンカチを取り出し、羚汰の額に当てる。
羚汰も顔を出して、拭きやすいようにしてくれている。

「ちょっと階段キツかったー。ふー、あっつぃ」

どうやら、人がそこそこいたので駅のエスカレーターを使わず、階段を走って駆け上がって来たらしい。
あの駅の階段は結構長さがあってキツい。

「連絡くれたら待ったのに〜」

終電からいえば、まだ3本前の電車だ。
羚汰にしてはいつもより早い時間の、この電車に乗ってくるとは思ってもみなかった。

もう落ち着いてきたのか、羚汰がにやにや笑っている。

「何?何か変??」

「あは。変じゃないよ」

羚汰の手が伸びてきて、よしよしと頭が優しく撫でられる。

「稜の顔がめっちゃいい笑顔だからさ。つられたの」

えっ。
笑顔なのは羚汰で、私のがつられてると思うのだけれど。

「俺が一緒で嬉しい?」

少し顔が近づいて、耳元でそう囁く。

「ちょっと、もう...」

羚汰の胸を叩こうとした手を掴まれる。

「俺は嬉しい」

にっと笑ってそのまま手にキスを落とす。

!!

心臓がぎゅっとつかまれたみたいで、ホントもたない。

「ちょっ、恥ずかしいから」

祝日の夜遅い電車はそう混んではいないのだが。
さっきから、出張帰りなのか小さなスーツケースを持ったサラリーマンがこっちを睨んでいるようで。

稜が気にしていると、羚汰が振り返ろうとする。

「きゃ、いいからいいから」

「えー」

少しは人目を気にして欲しい。

羚汰の手を引っ張って歩き、車両の真ん中辺りで空いている座席に座る。

「はぁ」

「何。疲れてるね」

この数分の出来事で忘れていたが、今日は大変な1日だったのだ。

「どうかした?」

羚汰が怪訝そうな顔をしているが、いくらなんでもここでは話せない。

「帰ったらね」

「ふーん」

稜は、そんな羚汰の不安をなくすように笑いながら、つないでいた手を指を絡めてつなぎ直した。



「実家でなんか言われたの?」

いつものコンビニの角を曲がって、マンションまであと数分となり人通りもほとんどなくなったからか、待ちきれず羚汰が聞いてきた。

「それが、空人がね...」

空人が散々自分の産まれる赤ちゃん話をして、稜の話をするのそんなつもりはナイにしても半ば妨害しておいて、途中で帰ってしまった話をする。
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ