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NEXT 【完結】
第70章 実家
全く遠慮がない空人の脇腹をつつく。

「ぐわっ!痛った!!暴力だ!」

「大袈裟な。ちょっとつついただけじゃん」

オーバーに騒ぐ空人の脇腹を今度はパンチする。
ぽよぽよしたお腹は、少しパンチしたぐらいじゃ何ともなさげだ。

「羚汰さん、こんな凶暴ねーちゃんのどこがいいの」

「ちょっと。何言って」

慌てて羚汰のほうを見るも、羚汰はにっこり笑っている。

「あらー。それは母さんも聞きたいわ〜」

ここぞとばかりに母親が身を乗り出す。
父親も気になるのか、グラスを傾けながらも、耳がダンボになっているのがわかる。

「どこって...」

羚汰が、稜の顔をマジマジと見ている。
皆の視線がいたたまれなくて、稜は思わず顔を背けようとする。
そこへ羚汰がテーブルの下で手をつないできた。

少しびくっとなって、思わず羚汰を見返す。

小さな歓声が母親と空人からして。

それから羚汰がにいっと笑って言い切った。

「全部です」

さっきより大きな歓声がする。

稜は自分の顔から湯気が一気に吹き出したように感じた。
空いた手で顔を抑える。

羚汰のほうをちらりと見ると、流石に羚汰も恥ずかしかったのか、顔が少し赤い。

「すげーな。尊敬するわ。勇気あるなー」

空人がそう言いながら、羚汰のコップにビールを注ぐ。

「どういう意味よ」
「え、そのまんまだけど」

お返しに羚汰も注ぎ返そうとすると、空人は車だからと断っている。

「可愛い水花(みか)ちゃんが待ってるからね〜」

食べたら、とんぼ返りらしい。

空人は悩んだ挙句、生まれてきた女の子に水花と名付けた。

「男の子だったら、“陸”の付いた名前がよかったんだけどー。女の子だからさ」

とは、名前が決まったと聞いた時に言っていたセリフだ。

「最近、俺のことがわかるみたいでさー」

でれっでれで娘の自慢話が始まった。
産まれて1ヶ月来てないので、まだそこまで目は見えてないと思うのだが。
母親も父親も弟が見せるスマホの写真に食いついている。

少し注目が逸れて、稜はホッとする。
羚汰も同じなのか目が合って、静かに2人で笑う。

自分の家族相手とはいえ、これだけ気を使って疲れるのだ。
きっともっと羚汰のほうが疲れているはずなのに、そんな素振りは全くしない。

その柔らかな笑顔に、胸がきゅーんと鳴るのがわかる。
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