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第71章 宿

「うん。ストッキングだけ脱いだー」

「え？脱いだ？いつの間に」

着替え終わって飛んでくる羚汰から、慌てて逃げようと腰を上げるも間に合わず抱きつかれる。

「え、何？ちょっ」

「これは脱がないの？また手伝うのにー」

嬉しそうな羚汰の声が耳元にして、指が背中にあるファスナーをなぞっている。
今朝、手が届かず羚汰に閉めてもらった。

ワンピース越しに背中を撫でられただけなのに、体をゾクゾクしたものが走る。

「やっ...」

力が抜けて、畳の上に優しく押し倒された。

耳を舐めながら羚汰の手が体をゆっくり這いだす。
顔は見えないが、楽しそうに笑っているのが想像つく。
稜の僅かな抵抗も逆効果のようだ。

「...ん、羚汰、時間がないから」

「ふーん。時間があったら、シてもいいの？」

髪を指で梳きながら、首すじにべろりと舌を這わす。
その感触に稜は体を震わす。

今更そんな事を聞かれても、どう返事をしたらいいかわからない。

背けていた顔を起こされ、羚汰と目が合う。
いつの間にか息があがっていて、悟られまいと思っていたのに。

「はっ。エッロ！」

唇が重なり、舌がぬるりと侵入して瞬く間に絡めとられる。

「...んっ、...はぁ」

初めから激しく動く舌に翻弄され、ついていくのがやっとだ。
音を立てて唾液が混ざり合い、角度を変えて何度も絡まり合って、溢れたものが稜の首を伝う。

いつしか稜の腕を回して羚汰を引き寄せ、ねだるようにその舌を求めていた。

どのぐらいそうしていたのか、やっと名残惜しそうに唇が離れる。
それでも、稜の顔や首すじにキスを落として、その余韻に浸る。

「行かなきゃ...」

「うん。仲居さん来ちゃうよ...」

ご飯の間に布団を敷く為に来るのは明らかで。

なんとか踏みとどまった羚汰が体を反転させ、２人で畳に仰向けになる。

稜は、広がった髪の毛とまくりあがったワンピースの裾を直しながら起き上がる。

「羚汰？」

「ん...」

振り返ってみると、顔に片腕を押し当てている。

「...後で、いっぱいシよう、ね」

稜としては、さっきの質問に答えたつもりだったのだが。

その言葉に羚汰がガバっと起き上がってきて、デコピンをする。

「痛っ！」

次の瞬間、軽く手が回って抱きしめられていた。

「何、何？なんでー？」