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Cynical moon〜冷たい月
第1章 百貨店の男

「ふふふ、大丈夫よ、驚いただけよ」

貴子は有馬の太腿をさすりながら笑いながら有馬の顔を覗いた。

貴子の綺麗な肌、綺麗な目、綺麗な唇に吸い込まれそうになった。

無意識に貴子の顔に自分の顔を近づけていた。

フッと貴子が店員に話しかけたので
自分の顔を貴子の顔につけないで済んだ。

(何してるんだ、俺…)

有馬は我に返り、アガリを飲み干した。


「さあ、行きましょ」
貴子は椅子を降り、店主や店員に
「美味しかった。ご馳走様でした」
と、言い店を出ようとした。

有馬は財布を取り出し店員に支払おうとすると、
「貴子様にいただいております」
と、言った。

慌てて貴子に追いつき、支払うと言ったが聞き入れて貰えなかった。
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