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少年悪魔
第17章 少年の迷いと、少女の決意
*
友達との会話や移動教室などで、結局放課後になるまで繭とは話せないままだった。
ゼミ室に着いた遥斗が静かに教室に入ると、既に繭はそこにいた。
「繭…」
「…ハル」
繭が遥斗に近付き、静かに抱きついた。
「…ハル」
愛おしそうに自分を呼ぶ声。
遥斗は繭を強く抱きしめ返した。
繭を諦めたくない。
だけど、人間になるために繭や周りの人間の記憶がなくなるは嫌だし死なせるなんてもっと嫌だ。
そもそも死なせるという選択だけは、遥斗の中には元からない。
だが、残り二つから選ぶこともできない。