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監禁DAYS
第1章 今すぐ撃って

 無残に転がった美月が、ゆっくり顔をこちらに向ける。
 血が伝う顎など気にもとめずに、眼を細めた。
「もう三回、蹴ってぇ……逝けるかも」
 ぞくりと悪寒が走った。
 なんてやつ。
 それしか出てこない。
 今まで拉致った男女の中でずば抜けて狂っていやがる。
 舌を噛む女が今までで一番厄介だったが、こいつはそれと格違いだ。
 彫りの深いモデルのように綺麗な顔と、ブロンドの長い髪だというのに、にじみ出る空気で人を寄り付かせない狂気を感じさせる。
 ああ、困った。
 こんなやつと五日も過ごさなければならないのか。
 依頼主に頼まれたリミットを思い出し落胆する。
 仲間のいない男は、一人で美月の世話をしなければならない。
「蹴ってくれないなら、セックスしようよ」
 壊れたロボットみたいに―いや正にセックスドールか?-性交を求めてくる女と五日間。
 とりあえず、こいつから離れることは出来ない。
 銃を持っていたのと、過去に人を殺したことを意気揚々と話していたところを見ると、縄抜けだってしかねない。
「シット……っ、クソジャップめ」
 壁を殴った音でびくんと美月が反応する。
「あれぇ……外人さん? じゃあ、でかいのかな……期待していい?」
「面倒だからマイケルとでも呼べ」
「ならマイク。一発でいいから」
「シャットアップだ! 大人しく寝てろ」
「だから……死んじゃうんだって」
 睡眠薬。
 あったかな。
 それかもう殴って気を失わせるか?
 上手くいけば、マゾのこいつは逝きながら寝てくれるかもしれない。
 そう思って立ち上がった男にすぐ美月がキラキラとした眼で縋る。
 ああ、くそ。
 殴りづらい。
 さっきの蹴りで腫れた頬も痛々しい。
 なんで、こいつはこんなに平気な顔をしているんだ。
 痛みを感じてないのか。
「あっ……っは、はやく」
 殺さなければいくら手を出しても構わない、だったか。
 今回の依頼は。
 黒い渦が心に沸く。
 美月の肩に手をかける。
 少し強く服をずらすと、ブラのつけていない胸が露わになる。
 ぴんと立った乳首。
 さっきは気づかなかったが、ニップルピアスが片方に揺れている。
「……ド変態だな」
「えへへ……引き千切ってもいいよ?」
 困った。
 こいつはただのセックスを求めているんじゃない。
 アブノーマルという言葉すら合わないかもしれない。
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