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ギルディ~S系エリートと鳥籠の令嬢~
第13章 彼女が望むモノ―帝side-
**********
僅か1年足らずで事務所を閉める羽目になった。
弁護士も飽和状態。
俺のように弁護士の仕事で食っていけない連中は大勢いる。
俺もその大勢の一人だ。
そう思えば少し気が楽になった。
「失礼します」
杏が恐る恐るドアを開けて入って来た。
「来たか・・・」
俺は予め用意していた封筒をブリーフケースから取り出した。
「短い間だったがご苦労様。これはお前のバイト代だ」
俺は杏に封筒を渡す。
「私を呼び出したのはバイト代を渡す為?」
「そうだ。他に何がある?」
杏は俺とよりが戻せると期待していたのかもしれない。でも、彼女の期待は俺の一言で打ち砕かれた。
「お返しします」
杏は俺に封筒を突き返した。
「お嬢様はこんなはした金要らないか…お父様に強請ればいくらでも貰えるからな」
「・・・」
「要らないなら、さっさと帰れっ」
俺は冷たく吐き捨てて、杏に背を向け、デスクのモノを段ボールに詰め込んで、引っ越しの準備の再開した。
「お父様から訊きました。貴方が『クリスタルコーポレーション』で働くと」
「弁護士の仕事だけでは食っていけないんだよ」
「最初に会った時の帝さんはとても素敵な人だった。その襟元の向日葵の金バッチぐらい光り輝いていた」
「お前は男を全く知らなかった。初めて出会った俺を最高のオトコだと思っていたんだ。でも、違った。そうだろ?」
「それは・・・」
「俺に抱かれ、男を知り、お前は女として成長した」
「帝さん・・・」
「俺がお前に近づいたのは単なる復讐だ。俺はお前の父親の香芝副社長には痛い目に遇わされたからな」
「お父様は帝さんに何をしたんですか?」
「すべてはお前の父親が神宮寺家の遺産に目が眩み、神宮寺家の顧問弁護士だった俺のボス弁と共謀して、遺産の取り分を増やそうとした。俺はその陰謀を阻止しようと神宮寺社長に密告。未然にコトを防ぎ、自身が顧問弁護士に付いた。それがそもそものはじまり」
俺は何も知らない杏に全てを打ち明ける。
僅か1年足らずで事務所を閉める羽目になった。
弁護士も飽和状態。
俺のように弁護士の仕事で食っていけない連中は大勢いる。
俺もその大勢の一人だ。
そう思えば少し気が楽になった。
「失礼します」
杏が恐る恐るドアを開けて入って来た。
「来たか・・・」
俺は予め用意していた封筒をブリーフケースから取り出した。
「短い間だったがご苦労様。これはお前のバイト代だ」
俺は杏に封筒を渡す。
「私を呼び出したのはバイト代を渡す為?」
「そうだ。他に何がある?」
杏は俺とよりが戻せると期待していたのかもしれない。でも、彼女の期待は俺の一言で打ち砕かれた。
「お返しします」
杏は俺に封筒を突き返した。
「お嬢様はこんなはした金要らないか…お父様に強請ればいくらでも貰えるからな」
「・・・」
「要らないなら、さっさと帰れっ」
俺は冷たく吐き捨てて、杏に背を向け、デスクのモノを段ボールに詰め込んで、引っ越しの準備の再開した。
「お父様から訊きました。貴方が『クリスタルコーポレーション』で働くと」
「弁護士の仕事だけでは食っていけないんだよ」
「最初に会った時の帝さんはとても素敵な人だった。その襟元の向日葵の金バッチぐらい光り輝いていた」
「お前は男を全く知らなかった。初めて出会った俺を最高のオトコだと思っていたんだ。でも、違った。そうだろ?」
「それは・・・」
「俺に抱かれ、男を知り、お前は女として成長した」
「帝さん・・・」
「俺がお前に近づいたのは単なる復讐だ。俺はお前の父親の香芝副社長には痛い目に遇わされたからな」
「お父様は帝さんに何をしたんですか?」
「すべてはお前の父親が神宮寺家の遺産に目が眩み、神宮寺家の顧問弁護士だった俺のボス弁と共謀して、遺産の取り分を増やそうとした。俺はその陰謀を阻止しようと神宮寺社長に密告。未然にコトを防ぎ、自身が顧問弁護士に付いた。それがそもそものはじまり」
俺は何も知らない杏に全てを打ち明ける。