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朏の断片
第4章 #4
劣情、と呼ぶべきだろうか。体の芯に入り込んだ熱が荒れ狂う。管理不能な暴走の波に飲まれるまま押し倒しキスの雨を降らしても、抵抗らしき抵抗は返ってこなかった。
(何やねん、俺かて無理矢理するんは嫌やねん。ちゃんと抵抗すればこんなんやめれるのに、)
受け止めるでも逃げるでもない。ふわふわした手応えのなさはまるで柳の枝のようで、不安が掻き立てられる。
「逃げんでええんか」
シャツの中へ手を這わせ肌を撫でると、ビクビクと上田が震える。
その度に好きだと思う気持ちと、同じくらい好きになってほしい気持ちが膨らむのに、嘘をつかない正直な口は確信のない言葉を容易く紡がない。それが苛つく。
「逃げんのやったら、好きになったらええやんか」
「何で、そんな両極端なの」