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朏の断片
第5章 #5
「少し水分とかとって休まんと……お前いつからこんなボロボロやねん」
涙も枯れたのかぐったりと静かになった上田をゆっくり撫でた。
「……ユキ、」
「なん?」
腫れた瞼を押し上げて、片桐の目を見た上田の額に自然とキスをした。
「めちゃめちゃにして、俺のこと壊して……?」
「――――……」
すでにめちゃめちゃに壊れている上田が、それでもすがって懇願する。
「……わかった」
世界の中心を無くした心が、闇の渦に飲まれそうになっているなら。同じくらい強い力で、引き寄せる光が必要だ。
「優しく出来る自信はないで」
「うん、いい」
ずっと不安で寂しかったという自分勝手な気持ちでしか、呼び戻せないなら。それをそのままぶつけるほうがいい。
久しぶりのキスは荒々しくて一切余裕がなくて、熱くて、涙の味がした。息が出来ずに溺れるように喘ぐのをそれでも逃がさず追いかける。肩に食い込む指先が痛みを刻んでいく。ズルズルと力任せに服を剥ぎ取り、歯をたてながら舐めるとすすり泣く声がか細く聞こえた。
心の痛みを体の痛みで掻き消すように、真っ直ぐな愛をぶつける。