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朏の断片
第2章 #1
上田の腰に手を回して力任せに引き寄せ、唇を重ねるとますます理性はなくなった。
抵抗しようともがく上田の力も相当だった気がするが、片桐は逃がさなかった。無理矢理入りこんだ舌先が触れたかどうかのその瞬間、片桐は上田に蹴り飛ばされた。
「ふざけんな!いきなり何しやがるこの変態!」
手の甲で口を拭うようにして真っ赤な顔を隠しながら、つり上がった目の上田が叫ぶ。
可愛い少女の面影がない。
片桐はややしばらく目が点になったまま、上田を見上げていた。再び立ち上がるという気さえ沸き起こらない。
「……上田さんて、男の子なの?」
ようやく口から出たのはそんなセリフだった。考えても考えても抱き寄せた際、股間には女子とは違う感触があった気がするし、何より女子はあんな見事な蹴りを発揮しないはず。地味に蹴られた箇所が痛む。
「ミキが行けって言うから仕方なく来たんだ!帰ってデート報告とかさせられるのに、いきなりキスされたなんて言えるかよっ!」
上田は激怒するあまり訳のわからないことを次々に喚いた。とりあえずデートは本人の意思ではないらしい。