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第13章 挨拶 2

「 俺ん家…新菜も知ってる通りちょっと複雑なんだ。

簡単に言えば、俺は親父の私生児だ…。

俺の親父は、病院の一人娘と結婚して養子に入った。

その頃、母は俺を身籠っていたらしいが、義母の祖父母等が母に頭を下げて身を引いて欲しいと頼んだらしい。

母は、俺を認知するのを条件に身を引いたらしいんだ。

親父は、母と結婚するつもりだったらしいが母は、親父から逃げるように身を引いてしまったんだ。

お前に…ちょっと似てるだろ？
こちらの話も聞かずに、自己完結してしまう所…。

その後、あまり身体が丈夫ではなかった母が親父に俺を託したんだ。

自分が、あまり長くはない事が分かっていたらしい。

親父も、義母との間に子供が出来なかったから喜んで引き取ってくれたよ。

と言うわけで、高校の頃は親父や義母が大嫌いだったよ。

何で今頃、親父なんかの世話になるんだ！ってね。

入院がちのお袋には言えなかったけど…。

お袋はいつも控え目で、人を押しのけてでも幸せになろうとはしない、儚げな人だった。

実を言えば、お前とお袋をちょっと重ねてた…。

幸せから、逃げるように暮らすお袋と、幸せが心地よく思えないお前。

いつか幸せにしてやりたいって思ってたよ。」

隆盛は、あたしの手を握り締め、哀しく微笑んでいた。