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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
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「スー、スー…」


微かな寝息の音がする。


うっすら眼を開けると嘉之の喉元が見えた。


薄がりに見えた時計は、朝の4時頃だと認識する。


ベッドから出ていったん、家に戻る準備を始めた。


昨晩…
あれから何度も唇と身体を重ねて、落ち着いてきた頃に眠りに着いた。


…子供みたいだよね…
まあ、子供は泣くだけだけど…
てか…しんどい…。


寝不足と嘉之のムチャ振りに、身体が鉛の様に重く感じる。


あっ!
黙って帰って、またキレたらどうしよう…。


起こすか…。


「嘉之…私、帰るね…」


「…スー」


爆睡してるし…。


「はぁ…嘉之!」


ちょっと、揺すってみた。


「…ん…」


おっ!反応したぞ!


「帰るね…着替えないとだから」


「…は~い…」


はぁ…やれやれだよ。

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