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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
「はぁ~~」


今日は、なんかため息ばかり付いてるなぁ…。


時間はもう19時半になる。
効率が上がらず時間がかかった分、尚更疲れが増した。


「渡辺さん、上がれそう?」


井関さんが、声を掛けてくれた。


「あっ…はい、すみません…遅くなってしまって」


「昨日帰り遅くなったしね。疲れも溜まるわよ。週末は、チャージして来てね!」


明るく励ましてくれた。


あぁ…なんか廻りの人脈に恵まれてるのが、凄い有難い!


「はい!頑張ります!」


少しテンションが上がった。


今日は、お風呂にゆっくり浸かって、早く寝よう~!


まったりモードに入った矢先だった…。


「チャチャララ~!」


着信音が鳴る…


嘉之だった…。


「…はい?」


『香織…仕事、終わった?』


「うん…今、終わったところ」


『今から、来て』


「…今日じゃないとダメかな?明日の夕方とかじゃ…」


『来て!ガチャン!ツー、ツー』


………出たよ!!
何様、俺様、嘉之様だな…。


「はぁぁぁ~…」


私は、今日一番重たいため息を落とした。

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