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俺だけの女の子。
第10章 馨の高梨誘惑作戦
「お前ら授業始まってんぞ!席につけ、こらぁ!」

そんな俺たちに終止符を打ったのは生徒指導もしてて、怖いことで有名な数学の教師だった。
サッと席に座るギャラリーをよそに、俺と山田は暫く睨み合っていたけれど、教科書で先生に頭を叩かれてしぶしぶ自分の席に座った。

ホントに何やっても上手くいかない。

俺は教科書に並ぶ数字を見ながらでかいため息をついた。

まず自分の気持ちがそもそもぶれてんだもんな……
馨と付き合いたくて、でも付き合えないって言われて。
馨とはエッチしたいけど、でもセフレにはなりたくなくて……って俺は乙女かよ。
そんな据え膳並べっぱなしになってるような状況でそれを馨の兄貴たちに片付けさせて。
……って、やっぱ男らしくないよなあ。

さっきの言い争いに馨も心が揺れているんだろう。
斜め前の席に座る馨を見ると何だかぼーっとしているように見えた。
それでなくても勉強ができないのに、授業すら聞いてなかったら致命的だ。

やっぱここは真っ向勝負だよな。

ある意味山田との口喧嘩ですっきりした部分もあったのかもしれない。
俺は気持ちを入れ換えてノートを開くと、馨が全然写してない黒板の文字を写し始めた。


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