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第2章 春花の味

「い、てえ……」

　予測していなかった痛みに金北が呻いている隙に、春花は這うように男から逃れようとした。肌蹴てはいるものの服は脱がされてはいなかったので、彼女はなりふり構わず玄関へ向かおうとする。が、その前に金北が力任せに春花の腕を掴み、乱暴に捩じ伏せる。はずみで後頭部をしたたかに打ち、美しい顔が歪んだ。

「い、痛い……！」
「僕も痛かったよ、春花ちゃん。……ちょっと、優しくしすぎたかな？　でも今のは流石にムカついたなあ」

　自分勝手な言葉を吐きながらぐったりと横たわる春花の腕を後ろ手にぐるぐるとガムテープで拘束し、金北は舌打ちをする。彼は大きなハサミを取り出すと、春花の目の前でそれをちゃきちゃきと動かし、見せつけた。うっすらと目を開けた春花は、恐怖に「うぅ」と小さく唸る。

「もう逃げちゃだめだよ。って、逃げられないようにしちゃえばいいんだよね」

　言うなり、金北はブラジャーのフロント部分にハサミを当てる。ぐ、ぐ、と切ろうとするけれど、思ったよりも丈夫なブラジャーはなかなか切れない。

「やめ……やめて……」

　春花の言葉に耳を貸さず、金北は乱暴にハサミを動かす。ばつん、と音を立てて漸くフロント部分が切れると、支えがなくなったせいでたわわな乳房がぶるんと零れた。金北は次にブラのストラップの部分をばつんばつんと切り落とし、春花からブラジャーを取り去る。

「へえ、春花ちゃん、Dカップだったんだ。おっきいからEくらいあると思ってたよ」

　取り上げたブラジャーをじっくりと検分し、金北が粘ついた声を上げた。

「可愛いブラだよねえ。……この部分に、春花ちゃんの乳首が当たってたのかな？」

　ブラジャーのカップの裏側をすんすんと嗅ぎ、下品な男は涎を垂らす。金北は笑顔のまま、ブラジャーをべろべろと舐めた。

「いい匂いだなあ。それにここに春花ちゃんの可愛い乳首が当たってたんだって思うだけで興奮するよ」
「き、もち悪い……！」

　自分の身に着けていたものを目の前で嗅がれ、舐められ、気色の悪いことを言われ、春花は震えながら吐き捨てた。