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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




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 ディランが子爵の調査に乗り出してから早一ヶ月のときが過ぎた。


 その間彼は身元がバレてしまうのを避け、アッシュブラン邸には姿を見せていない。人を使い、定期的に連絡は入っているが。


 レオとジョシュアは更なる被害者が増えないように、子爵を見張っていると怪しまれないように手分けをして、子爵が出席する夜会の情報が入るとその夜会に出席していた。


 さすがに王太子やその側近だったジョシュアがいる前では悪事を働けないらしく、ジョシュアたちが出席した夜会では被害は出ていない。


 だがいつまでも野放しにしてはおけない焦燥が募ってきた頃、ディランが有力な情報を持ち帰った。






「──これは子爵がバムートン侯爵の命〈メイ〉で薬を売りさばいていた証拠となる密約の文書です。子爵の奴、事が露見して自分だけ破滅するのを恐れて、署名されたものを残していました」


 レオの執務室で持ち帰った文書をレオに渡したディランは、経緯のすべても報告した。ジョシュアもその場に同席し、レオの背後に立って聞いていた。


「……よくやった、と褒めてやりたいが、無茶はするなと言ってあっただろう。これを手に入れるために、どれだけ危険な橋を渡ったんだ」


 レオは唸るように咎めた。





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