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秘密の香り
第12章 秘密の痛み
「桃香ちゃん…敦から聞いていると思うけれど…」

「はい…」

「しばらく…二人のとこにお世話になるわね…ほんと突然ごめんなさい…」

「いえ…」

「いいよ、そんな謝らないで…母さん…」

沈黙が訪れる…

そこへオーダーした料理が運ばれてきた


お義母さんはテーブルに置かれた料理を見つめ
ぽつりと言った…

「私の何がいけなかったのかしら…」

「料理だって…お父さんの好きな物をいつも作ったわ…」

「母さんは悪くないよ…ほら、食べよう…」


どんなに満たされた日常にも
些細な不満を感じる瞬間はある…


それから会話がないまま食事を終えた


うちへ帰るとお義母さんは早々と寝てしまい
敦はリビングのソファに座り私を呼んだ


「なんか疲れたな…」

「運転ありがとう…」

隣に座り二人でテレビをぼーっと眺めた

「父さん…母さんに離婚してくれって…昨日…言ったらしい…」

「離婚…?そんな…」

「浮気相手…まだ20代だって」

私たちより年下なのだろうか…

「最低だよな…」


敦にとって自慢の大好きな両親…
大学時代も通学に時間をかけてまで
実家暮らしをしていたのは

あの家が…両親が大好きで
離れたくなかったんだと
私は思っていた…

いつも楽しそうに家族の話をする敦が好きだった…。
















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