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秘密の香り
第15章 秘密の毒
何を話したらいいか分からないまま…
静かに食事をした

時折、夜景を眺めながら…


「デザートは…どうする?」


「お腹いっぱいで…大丈夫です…」


それに…
やっぱりこんな時間まで…
良かったのだろうか…


携帯を見るのが怖くなった



「じゃあ…行こうか」


テーブルでお会計を済ませた圭吾さんが言う



「ごちそうさまでした…」


「また、来ようね」


「はい」



エレベーターへと向かう圭吾さんの後を歩く



「今度来るときは…泊まれるといいね…」



そう言って指を絡めるようにして手を繋いだ



私はうまく返事ができないでいた



エレベーターを降り
駐車場へと歩き出す圭吾さん


私は圭吾さんの手を引いた


「あの…お化粧室に行ってきても…いいですか…?」


「あぁ…じゃあ、ロビーで待ってるね」



お化粧室に入り、慌てて携帯を確認する


今の時刻は 22:32



敦からは30分前にメールが来ていた



『今夜はゆっくり楽しんで!
先に寝るね。おやすみ。』



良かった…



私は
夕食後にカラオケに来ていると、
嘘の返信をした


チクリ、と胸が痛んだ


簡単に嘘をついてしまう自分…



ただ…圭吾さんを好きなだけ…



その好きという気持ちに
全身が蝕まれていくような…
そんな錯覚に一瞬陥って


毒のようだと思った…


甘い…あまい
甘美な毒



バカみたい…
こんな事を思うなんて


携帯をバックへしまいロビーへと急ぎ
圭吾さんと駐車場へと歩く


「こんな遅くまで、ごめんね…」


「いえ…今日は大丈夫です」


帰り道はお互い無言だった


マンションの近くのコンビニに着く


「ありがとうございます…」


「桃香ちゃん…」


圭吾さんの手が私の頭を撫でた


「また近いうちに…会えるかな」


「はい…」


「今日はありがとう…気をつけて帰ってね」


「はい…圭吾さんもきをつけて…」


「またね、」


圭吾さんは車を降り
助手席のドアを開けてくれた


「おやすみなさい」

「おやすみ」

私は圭吾さんに背を向け歩き出す

現実に帰る…

マンションのドアが
とても重く感じた…












































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