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あなたの面影
第6章 雨が降る金曜の夜
「へぇ……そんなことがあったんだ」

何も言わず黙って聞いてくれた名執さんは私の話が終わるとグラスをテーブルに置いた。
その視線は壁の向こう側でも見てるかのように遠くに置かれていた。

話ながら少し涙ぐんでしまった私への気遣いなんだろう。

「ごめんな。もう瑞波を待たせないから……」

名執さんは私を強く抱き締めた。

「……うん。ありがとう」

抱かれた腕の中で名執さんの顔を見つめる。
その顔が聡志に見えてしまった。
聡志が約束してくれたように感じてしまった。

私は、最低の人間だ……

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