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あなたの面影
第11章 『あなた』
「へぇ……ここ、マンション建ったんだ」

三年のブランクを経てから見ると町の景色はずいぶん違って見えるらしく聡志は色々と驚いていた。

「ここはずいぶん前からマンションだよ?」

むしろ私はここにマンションが建つ前に何があったのかも思い出せない。

「そうなんだ……たしかここは小さな花屋さんとお米屋さんと駐車場があったんだよね」
「あー……そう言われてみればそうかも……」

聡志はたまにそこに車を止めて私の家に来てくれたっけ……

喧嘩してつまらないことで怒っている私の機嫌を取るために花を買ってくれたのもその花屋だった。

私の歴史にはこの町と聡志で溢れている。

「懐かしいね……」

公園のベンチに座り、缶コーヒーを飲みながら聡志が呟く。

「そうだね……」

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