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仔猫と狼
第16章 こぼれ落ちる
















「片岡さん、こちらへどうぞ。」














看護師さんに案内してもらって診察室に入る。













中には母の姿。











母は、私が鳥居さんと来たことに、いや職場に私が来たことに驚いたようだ。













「み…。」












「母さん、なんで来たかを話す前に、母さんと鳥居さんと私だけにしてほしいの。」












これから話すことを少しでも聴く人を減らしたい、そう思って母さんにそうお願いした。










母さんは、戸惑いながらも珍しく自分の意見を言った私の願いを聞き届けてくれた。










「他の患者さんもいるからあまり長くこのままにできないけど、いいわね?」













「うん。ありがとう母さん。」














これから話す内容に後ろめたさを感じて、私は母さんの顔を見ることができなかった。












深く深呼吸をして、私はことばをはいた。













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