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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 あるいは夢中で歩いていたために、つい見過ごしてしまったのかもしれない。それでなくとも、小さな建物は生い茂った竹に見え隠れし、あまつさえ夜の深い闇に紛れ込んでしまっている。よくよく見れば、寺というよりは庵と呼んだ方がふさわしいような、ささやかなものだ。
 美咲は蝶に導かれるように、庵に近づいていった。
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