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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 美咲はとりあえず、真っ先に眼に入った家を訪ねてみることにした。藁葺き屋根の、粗末な一軒家である。囲いのつもりなのか、周りにぐるりと巡らせた低い柵の向こうで、数羽の鶏がかしましい鳴き声をしきりに上げていた。
 見知らぬ若い女を見て、ひょこひょこと寄ってくる鶏をよけながら庭を横切ってゆくと、仕舞屋の前に立ち遠慮がちに声をかける。
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