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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》
涙が溢れそうになった。
「おい、落ち着きなよ。さっきも言っただろう、お前は五日間眠りっ放しだったんだ。そんなに焦って何もかも思い出そうとしても無理だ。俺はおを見た時、最初は男だと思ったんだ。どこかのお武家の我がまま息子―もとい、若さまかなと思った。腕に抱いた時、こいつは女だとすぐに判った」
泉水はハッとした。今着ているのはあの時、着ていた小袖や袴ではない。きちんと洗濯はしてあるが、粗末な女物の浴衣だ。