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Only you……
第6章 明 3
マンションに着いても、オレは昼間の動物たちが頭から離れなかった。あの勢いよく振られる尻尾がたまらなく可愛い。にゃぁと鳴く声もピーピー騒いでいる鳥たちの羽音も。
――アルバイト……かぁ。
そんなことをしたいと言えば、麻都はどう思うのだろうか。反対されるだろうか。
いや、優しい麻都のことだ、きっと自分が嫌だと思っても反対はしないだろう。
そんなふうに、無理や我慢はさせたくなかった。今まで散々お世話になってきておいて、今更それを仇で返すなんて出来ない。しかしそれでも、オレは“アルバイト”というものに興味が沸いて仕方なかった。
「はぁ……」
自然ともれる溜息は止められない。
りんさんの言っていた“何か”をアルバイトにすることは出来ないだろうか。
ソファの上で膝を抱え、沈みゆく夕日を見た。オレンジ色の窓の外は、もう今日の終わりを告げようとしていた。