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Only you……
第8章 明 4

「……なんだよ」

麻都がぴくりと反応する。

「俺は、俺はって……オレの気持ちは関係ないのかよ!? 1人で突っ走ってんじゃねぇよ!!」

叫んでいたら涙が零れて、最後には嗚咽が混じってしまった。かっこつけたつもりが情けなさを強調しただけだった。オレは結局、麻都なしでは生きていけない。

「うっ……オレは、麻都だけ、なのに……ぃっ」

言葉にならなかった。気持ちばかりが先走って、体の方がついていけないらしい。オレはついには立っていられなくなり、その場に座り込んだ。

麻都は静かに立っていた。何を考えているのだろうか。何を想っているのだろうか。

オレは両腕に顔を埋めると、声を殺すように努力していた。それでも引きつったものが漏れるのはどうしようもない。

「……ごめん」

麻都はまた謝った。最近そればかり。オレは麻都を謝らせてばかり。

「……ごめん、嫉妬してた」

オレはその言葉に、涙でぐちゃぐちゃの顔を上げた。

途端に麻都がオレを覆うように抱きしめてきた。オレはいきなりのことにどう反応していいのか分らず視線を泳がせていた。

「他のヤツの腕の中にいるのが嫌だったんだ……。ごめん、大人気ないよな」

抱きしめている腕に力が込められる。オレは垂れていた腕を持ち上げ、麻都の背中に回した。

「焼きもち、かよ……」

思わずくすりと笑ってしまった。麻都が焼きもちだなんて、似合わないにも程がある。どちらかといえば、焼きもちをやかせてひょうひょうをしてそうな男なのに。

「笑えばいいだろっ」

オレが堪えようとしていたら、麻都はそう言った。半ば諦めにも聞こえたが、それが引き金になってオレは豪快に笑った。

「あははははっ!!! 麻都が焼きもちかぁ、ハハ」

「うるさいなぁ」

オレが顔を覗き込もうとしたら、ふいと反らしてしまった。でもオレは知ってる。麻都の耳が真っ赤に染まっていたことくらい。
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