この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Only you……
第1章 麻都 1

走りつづけた。こんなに走ったのはいつ以来だろうか。大学のサークル以来か?

そんなどうでもいいことが頭をかすめ、気が付くと俺は全然知らない住宅街へ来ていた。俺はアイツの家なんか知らない。アイツが好きな食べ物も、色も知らない。知っているのは、煙草が嫌いなことだけ……。

ぐるりと辺りを見回す。ぼろいアパートが目に入った。なんとなくそこに目をやっていると、2階の端の部屋の前で人影が動いた気がした。俺は反射的に叫んだ。

「あきらぁー!!」

人影は一瞬びくっとし、こちらを振り向くと、慌てて部屋の鍵を開けようとしている。俺は確信した。あの影はアイツの後姿なのだと。思った瞬間、俺の足は地面をけり、階段を駆け上がり、手をのばした。部屋のドアが閉められる寸前。間一髪、俺は自分の手を、勢いよく閉められはドアの間にはさむことに成功した。

「……くっ」

が、その痛みはなかなかのものだ。俺は顔を歪め、もう一方の手を強く握ることで、痛みに絶えようと必死になった。ドアの向こうのアイツは驚き、焦っていることだろう。

「……」

俺はゆっくり顔を上げる。そこには、俺の予想していたようなアイツの姿はなかった。ただ無表情で、俺を睨みつけていた。

「なんのマネだよ」

アイツは開口一番にこう言った。そして、唖然とみあげる俺に、さらに言葉を続ける。

「ねぇ、ストーカーは困るんだよね。オレお金命だし?」

くっくっくと腹をかかえて、アイツは笑う。俺のことを? それしか考えられないよな……。

予想外の出来事に、動揺している俺は、何とか冷静さを取り戻そうと、一度深呼吸してみる。完全ではないが、さっきよりは大分落ち着いた。そして気付いた。このアパートが、ちょっとした地震によって倒壊しそうなほど、古いことに。いつも高級ブランド品しか身につけていないアイツの家が、本当にここだというのか?

そんな俺の様子に気付いたのか、腕を組み壁にもたれかかっていたアイツは言葉を冷たく吐き出す。
/177ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ