この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Only you……
第1章 麻都 1
「じろじろ見んなよ。さっさと帰れ」
「……嫌だ」
「なんでだよ」
正直、このまま帰ってしまおうかと思った。俺が追い求めていたアイツは、完全に俺を見下していた。わざわざ探して、ここまで追ってきたというのに、この仕打ちはなんだ。虚しさを感じていたのも事実。では、なぜ帰らないかというと、答えは簡単。つまりは――
「いつも言ってるだろ。俺はお前に惚れてるって」
そういうこと。この想いだけは、簡単に消えてくれそうにない。どんな怒りや悲しみにも打ち勝つような、そんな強さを得てしまった想いは。
「くだらない。冗談も休み休み言え」
言いながら、俺の背中を無理やり押し、力ずくで追い出そうとする。俺はそれに対抗する気にならず、ただなされるがままになっていた。
くだらない、か。
俺の気持ちは、アイツにとって、何の価値も無いのだろうか。
「あばよっ!」
俺の背を高級革靴で蹴り、アイツは台詞を吐いた。俺は慌てて振り返る。アイツはまた文句を言おうとしたのか、口を開けた――が、言葉は出てこなかった。というか、見る見る顔色が変わってゆく。恐ろしいものを、見つけてしまったかのように……。
「よう、明くんじゃないの」
「おひさ~って、先週も会ったっけ?」
「どうして昨日はお電話に出なかったのかなぁ~?」
汚い言葉使いで、アイツにじわじわと近寄る3人の男たち。歳は俺と同じくらいだろうか? アイツは近寄られる度に、一歩ずつ後じさりしていく。
こいつら、明にとって、敵なのか?
俺はとっさに、アイツを後ろにかくまうように手をひらいた。男たちの顔つきが変わる。
「何このヒト? 俺等の邪魔しようての?」
「馬鹿じゃねーの? こっちは3人だっつーの!」
俺は黙ったまま上着を脱ぎ、アイツの振るえる腕にそっとかける。アイツは俺のほうを見ようともしなかった。Yシャツの袖を捲り上げると、戦闘態勢だ。
「……嫌だ」
「なんでだよ」
正直、このまま帰ってしまおうかと思った。俺が追い求めていたアイツは、完全に俺を見下していた。わざわざ探して、ここまで追ってきたというのに、この仕打ちはなんだ。虚しさを感じていたのも事実。では、なぜ帰らないかというと、答えは簡単。つまりは――
「いつも言ってるだろ。俺はお前に惚れてるって」
そういうこと。この想いだけは、簡単に消えてくれそうにない。どんな怒りや悲しみにも打ち勝つような、そんな強さを得てしまった想いは。
「くだらない。冗談も休み休み言え」
言いながら、俺の背中を無理やり押し、力ずくで追い出そうとする。俺はそれに対抗する気にならず、ただなされるがままになっていた。
くだらない、か。
俺の気持ちは、アイツにとって、何の価値も無いのだろうか。
「あばよっ!」
俺の背を高級革靴で蹴り、アイツは台詞を吐いた。俺は慌てて振り返る。アイツはまた文句を言おうとしたのか、口を開けた――が、言葉は出てこなかった。というか、見る見る顔色が変わってゆく。恐ろしいものを、見つけてしまったかのように……。
「よう、明くんじゃないの」
「おひさ~って、先週も会ったっけ?」
「どうして昨日はお電話に出なかったのかなぁ~?」
汚い言葉使いで、アイツにじわじわと近寄る3人の男たち。歳は俺と同じくらいだろうか? アイツは近寄られる度に、一歩ずつ後じさりしていく。
こいつら、明にとって、敵なのか?
俺はとっさに、アイツを後ろにかくまうように手をひらいた。男たちの顔つきが変わる。
「何このヒト? 俺等の邪魔しようての?」
「馬鹿じゃねーの? こっちは3人だっつーの!」
俺は黙ったまま上着を脱ぎ、アイツの振るえる腕にそっとかける。アイツは俺のほうを見ようともしなかった。Yシャツの袖を捲り上げると、戦闘態勢だ。